(不動産所得に関する)青色申告の特典とは何がありますか?

 一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をする場合には、所得金額の計算などについて有利な取扱いが受けられる青色申告の制度があります(青色申告は、不動産所得・事業所得・山林所得のある方が対象となります)。
 青色申告の特典のうち(不動産所得に関する)主なものは、下記のとおりです。
 ① 青色申告特別控除
 ② 青色事業専従者給与
 ③ 純損失の繰越控除
 ④ 純損失の繰戻し還付
 ⑤ 少額減価償却資産の特例
 ⑥ 現金主義
 ⑦ 推計課税

① 青色申告特別控除
 (不動産貸付けが事業的規模の場合において)所得に係る取引を複式簿記により記帳し、その記帳に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付して申告期限内に提出している場合には、原則として青色申告特別控除として最高65万円を控除することができます(なお、不動産貸付けが業務的規模の場合には青色申告特別控除として最高10万円を控除できます)。

② 青色事業専従者給与
 (不動産貸付けが事業的規模の場合において)青色申告者と生計を一にしている配偶者やその他の親族のうち、年齢が15歳以上でその青色申告者の事業に専ら従事している人に支払った給与は、(事前に提出する「青色事業専従者に関する届出書」に記載される金額の範囲内で専従者の労務対価として)適正な金額であれば、必要経費に算入することができます(なお、青色事業専従者として給与の支払を受ける人は、配偶者控除・配偶者特別控除、扶養控除の対象となりません)。

③ 純損失の繰越控除
 損失がある場合で、損益通算の規定を適用してもなお控除しきれない部分(純損失)の金額が生じたときには、その金額を翌年以後3年間に繰り越して、各年分の所得金額から控除することができます。

④ 純損失の繰戻し還付
 前年に青色申告をしており損失が生じていない場合は、純損失の繰越控除(③)に代えて、その損失額を生じた年の前年に繰戻して、前年分の所得税の還付を受けることができます。

⑤ 少額減価償却資産の特例
 取得価額が30万円未満の少額減価償却資産は、事業の用に供した年に、年間300万円を限度として全額必要経費に算入することができます。

⑥ 現金主義
 前々年の不動産所得の金額等の合計額が300万円以下の人は、現金主義により所得計算をすることができます。

⑦ 推計課税の不適用
 帳簿調査に基づかない推計課税による更正・決定を受けることはありません。

 青色申告を申請する場合には、忘れずにその年の3月15日(その年の1月16日以降に新規開業した場合には、開業日から2カ月以内)に「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出しましょう。