不動産建築に際して消費税還付を受けることはできますか?

様々な要件の全てを満たすならば可能ですが、近年の税制改正の影響を受け還付を受けることは比較的難しいものと思われます。

⑴ 不動産賃貸に係る消費税の課税区分

 不動産賃貸に係る消費税の課税区分は、主に次のとおりになります。

  1. 土地・住宅の貸付け ・・・ 非課税取引
  2. 駐車場の貸付け(3を除く) ・・・ 課税取引
  3. 駐車場の貸付けで、次のいずれにも該当する場合 ・・・ 非課税取引
  • 一戸当たり1台分以上の駐車スペースが確保されており、かつ自動車の保有の有無にかかわらず割り当てられている等の場合
  • 家賃とは別に駐車場使用料等を収受していない場合

⑵ 消費税還付とは?

 消費税は、「売上に係る消費税等」から「仕入に係る消費税等」を差し引いて納付すべき消費税を算出します。

 したがって「売上に係る消費税等」よりも「仕入に係る消費税等」が多ければ、その差額を還付することができます。

 なお、消費税の還付を受けるためには、原則として課税事業者である必要があります。

 いわゆる免税事業者や簡易課税制度の適用を受けている事業者は消費税の還付を受けることができません。

⑶ 消費税還付を受けられる可能性のあるケースとは

 課税仕入れとなる高額の不動産等を建築・購入することで、支払った消費税等が多くなり消費税還付を受ける可能性が高くなります。

 なお消費税の還付を受けようとする場合には、不動産の購入・建築・売買・賃貸借に係る消費税の取扱いを慎重に確認する必要があります。

 具体的には、課税事業者か否か、課税売上割合、課税期間、調整対象固定資産の取得の有無等を検討する必要があります。

 また近年の税制改正の動向も踏まえ、単年ではなく複数年にわたり事業者の消費税等を検討する必要があります。

⑷ 不正還付に関する罰則規定

 消費税法には、不正に消費税の還付を受けた者に対して罰則規定(10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金)が設けられております(消費税法第64条第1項第2号)。

 また、上記に加え平成23年度税制改正において消費税不正還付未遂罪(10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金)が創設されました(消費税法第64条第2項)。

 これにより、不正に消費税還付を受けた者だけでなく、受けようとした者に対しても同様の罰則が適用されます。