- 譲渡所得税の計算方法を教えてください。
- 原則として収入金額から取得費・譲渡費用等を差し引いた金額に一定の税率を乗じて算出します。
⑴ 譲渡所得の区分(税率)
土地建物等を譲渡した場合の税金は、事業所得や給与所得等の所得と分離して算出します(分離課税)。
譲渡所得金額(⑵) × 税率 = 税額
なお、土地建物等の譲渡所得は下記のように区分され、税率は下記表のようになります。
分離課税の短期譲渡所得
譲渡した年の1月1日において譲渡資産の所有期間が5年以下のもの
分離課税の長期譲渡所得
譲渡した年の1月1日において譲渡資産の所有期間が5年を超えるもの
区分 | 適用される所得税及び復興特別所得税の税率(住民税の税率) | |
---|---|---|
分離課税の短期譲渡所得 | 一般分 | 一般的な分離課税の短期譲渡 30.63%(9%) |
軽減分 | 国や地方公共団体に譲渡したもの又は収用交換等により譲渡したもの等一定の要件に該当するもの 15.315%(5%) | |
分離課税の長期譲渡所得 | 一般分 | 一般的な分離課税の長期譲渡 15.315%(5%) |
特定分 | 優良宅地等譲渡の特例 課税譲渡所得金額≦2,000万円の部分 10.21%(4%) 課税譲渡所得金額>2,000万円の部分 15.315%(5%) |
|
軽減分 | 居住用財産譲渡の特例 課税譲渡所得金額≦6,000万円の部分 10.21%(4%) 課税譲渡所得金額>6,000万円の部分 15.315%(5%) |
⑵ 譲渡所得の金額の計算
土地建物等の譲渡所得の金額は下記のように算出されます。
土地建物等の譲渡所得金額 = 収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額(*)
*特別控除額は一定の要件を満たす場合に適用できます。
① 収入金額
不動産を譲渡した際に固定資産税の未経過期間に対応する精算金を受領した場合には、その精算金を加算した金額を収入金額とします。
② 取得費
原則として土地は取得するにあたり支出した金額となりますが、建物は取得価額から譲渡時までの減価償却費を控除した金額となります。
【減価償却費の計算方法】
業務用資産 | 譲渡時までの減価償却費の累計額 |
非業務用資産 | 取得価額×90%×譲渡資産の耐用年数の1.5倍の×経過年数*² 年数に応ずる旧定額法の償却率*¹ |
なお、取得費となるものには次のようなものがあります。
- 土地や建物を購入したときに支払った登記費用、不動産取得税、印紙税
- 土地の埋立てや土盛、地ならしをするために支払った造成費用
- 所有権などを確保するために要した一定の訴訟費用
- 既に締結されている土地等の購入契約を解除して、他の物件を取得することにした場合に支出する違約金
- 土地等とともに建物等に取得した後、概ね1年以内に建物等を取り壊した場合におけるその建物等の取得費及び取壊し費用(土地の取得費となります)
- 贈与又は相続により取得した場合における贈与又は相続の際の一定の登記費用及び不動産取得税
(*相続財産を譲渡した場合の取得費の特例(Q5-3)参照)
また、下記の場合には取得費を譲渡収入金額の5%相当額とすることができます。
- 取得価額が不明な場合
- 取得費が譲渡収入金額の5%相当額を下回る場合
③ 譲渡費用
譲渡費用とは譲渡するために直接支出した費用を指し、維持管理のための費用は該当しません。
譲渡費用の範囲(例)
譲渡費用 | 譲渡費用に該当しないもの) |
---|---|
・仲介手数料、収入印紙代 ・測量費、分筆・所有権移転登記費用 ・前契約の解約違約金 ・譲渡のための家屋等の取壊し費用及び取壊しされた家屋等の損失額(未償却残額) ・立退料 ・借地権譲渡時に支払った名義変更料 | ・譲渡資産に係る固定資産税 ・家屋等の修繕費 ・自己の引越費用 ・住所変更登記費用 ・抵当権抹消費用 ・譲渡資産の遺産分割に関する弁護士報酬 ・申告のための税理士報酬 |
譲渡費用 | 譲渡費用に該当しないもの |
---|
・仲介手数料、収入印紙代
・測量費、分筆
・所有権移転登記費用
・前契約の解約違約金
・譲渡のための家屋等の取壊し費用及び取壊しされた家屋等の損失額(未償却残額)
・立退料
・借地権譲渡時に支払った名義変更料 | a