自宅を売却しますが、どのような優遇税制がありますか?
譲渡益がある場合には特別控除等の特例があり、譲渡損がある場合には損益通算や繰越控除等の特例があります。

⑴ 概要

所有者が居住していた土地建物を譲渡した場合には、下記の居住用の特例があります。

  1. 居住用財産を譲渡した場合の特別控除の特例
  2. 空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例(Q5-4)
  3. 居住用財産を譲渡した場合の軽課税率の特例
  4. 特定居住用財産の買換え特例(Q5-5)
  5. 居住用財産の買換え等をした場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(コラム5-2)
  6. 特定居住用の財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(コラム5-2)

【居住用の財産を譲渡した場合の特例の概要】

譲渡損益 所有期間 買換えの有無 検討対象となる特例
譲渡益 10年以下 1
10年超 1 及び 3, 4 の選択
1, 3 を併用可
譲渡損 5年超 5, 6 の選択
6

⑵ 居住用財産を譲渡した場合の特別控除の特例

 自己が居住していた土地建物を譲渡した場合において一定の要件を満たすときは、譲渡益から最高3,000万円を控除することができます。

① 適用要件

【譲渡資産の要件】

  • 自己の居住用資産であること
  • 家屋又は家屋とともにその敷地を譲渡していること
  • 住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに譲渡していること

【買受人の要件】

  • 買受人が、親子や夫婦・生計を一にする親族などの特殊な関係者でないこと

【その他の要件】

  • 譲渡の年の前年又は前々年において既に本特例及び特定居住用財産の買換え特例等の適用を受けていないこと(居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例は、重ねて受けることができます)
  • その居住用財産の譲渡について固定資産を交換した場合の特例(Q5-6参照)又は収用等の特別控除の特例等の適用を受けていないこと

② 手続き

この特例の適用を受ける場合には、確定申告書に「措置法第35条」と記載するほか、次の書類を添付する必要があります。

  • 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]
  • 戸籍の附票の写し等で、その資産を居住の用に供していたことを明らかにする書類(譲渡契約締結日の前日において、この特例を受けようとする者の住民票に記載されていた住所とその譲渡した資産の所在地が異なる場合)

⑶ 居住用財産を譲渡した場合の軽課税率の特例

 自己が居住していた土地建物を譲渡した場合において一定の要件を満たすときは、長期譲渡所得の金額を低い税率で計算することができます。

課税譲渡所得金額のうち6,000万円以下の部分

  • 14.21%(所得税及び復興特別所得税10.21%、住民税4%)

課税譲渡所得金額のうち6,000万円超の部分

  • 20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%)

① 適用要件

【譲渡資産の要件】

  • 日本国内にある自己の居住用資産であること
  • 家屋又は家屋とともにその敷地を譲渡していること
  • 住まなくなった日から3年目の年に12月31日までに譲渡していること
  • 譲渡した年の1月1日において家屋及びその敷地の所有期間がともに10年を超えていること

【買受人の要件】

  • 買受人が、親子や夫婦・生計を一にする親族などの特殊な関係者でないこと

【その他の要件】

  • 譲渡の年の前年又は前々年において既に本特例を受けていないこと(居住用財産を譲渡した場合の特別控除の特例は、重ねて受けることができます)
  • その居住用財産の譲渡について固定資産を交換した場合の特例(Q5-6参照)等の適用を受けていないこと

② 手続き

この特例の適用を受ける場合には、確定申告書に「措置法第31条の3」と記載するほか、次の書類を添付する必要があります。

  • 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]
  • 譲渡資産の登記事項証明書
  • 戸籍の附票の写し等で、その資産を居住の用に供していたことを明らかにする書類(譲渡契約締結日の前日において、この特例を受けようとする者の住民票に記載されている住所とその譲渡した資産の所在地が異なる場合)