修繕積立金の税務

Q　マンション（区分所有）の管理規約に基づき、マンション管理組合に修繕積立金を毎月支払っています。この修繕積立金は、支払った年の不動産所得の計算上必要経費に算入できるのでしょうか。

A　一定の要件を満たす場合には、支払日の属する年分の必要経費に算入することができます。

　修繕積立金は、マンションの共用部分について行う将来の大規模修繕等の費用の額に充てられるために長期間にわたり計画的に積み立てられるものです。それ故、実際に修繕等が行われていない場合には、具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していないことから、原則として管理組合への支払期日の属する年分の必要経費には算入されません。したがって、実際に修繕等が実施され、その費用の額に充てられた部分の金額について、その修繕等が完了した日の属する年分の必要経費に算入されることとなります。

　しかし、区分所有者において修繕積立金は管理組合に対し支払義務を負うことや、管理規約において管理組合が解散しない限り返還されないことが一般的です。

　そこで、修繕積立金の支払がマンション標準管理規約に沿った適正な管理規約に従い、下記の事実関係の下で行われている場合には、その修繕積立金についてその支払期日の属する年分の必要経費に算入しても差し支えないものとされております。

　①　区分所有者となった者は、管理組合に対して修繕積立金の支払義務を負うことになること

　②　管理組合は、支払を受けた修繕積立金について、区分所有者への返還義務を有しないこと

　③　修繕積立金は、将来の修繕等のためにのみ使用され、他へ流用されるものでないこと

　④　修繕積立金の額は、長期修繕計画に基づき各区分所有者の共有持分に応じて、合理的な方法により算出されていること

　Point

　修繕積立金は、原則として実際に修繕等が行われその修繕等が完了した日の属する年分の必要経費となりますが、一定の要件を満たす場合には支払期日の属する年分の必要経費に算入することができます。