≪居住用財産を譲渡した場合の各種特例の適用Q&A④≫

Q10【家屋の取壊し(所有期間)】

 30年前に購入した家屋を5年前に建替え、そして昨年に取壊し、今年に土地(更地)を売却しました。この土地(更地)の売却は、居住用財産を譲渡した場合の各種特例の適用となりますでしょうか。

A10

 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円控除の特例の対象となりますが、その他の居住用財産を譲渡した場合の各種特例(軽減税率の特例、買換えの特例等)の適用対象とはなりません。

 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円控除の特例は、所有期間の長短に関係なくその適用を受けることができますが、居住用財産の軽減税率の特例又は居住用財産の買換え(交換)の特例は、長期保有資産(譲渡した年の1月1日(*)における所有期間が10年を超える土地建物等のうち居住用財産に該当するもの)に限りその適用を受けることができます。

 (*家屋を取壊しその敷地を譲渡した場合には、家屋の取壊しの日の属する年の1月1日となります。)

Q11【空き家特例・相続により敷地のみを取得した場合】

 被相続人が一人で居住していた家屋及び敷地を次のように相続により取得しましたが、被相続人の居住用財産を譲渡した場合の特別控除の特例の適用は可能でしょうか。

 家屋と敷地の1/2・・・長男

 敷地の1/2   ・・・次男

A11

 長男は、被相続人の居住用財産を譲渡した場合の特別控除の特例の適用を受けることができますが、次男はできません。

 被相続人の居住用財産を譲渡した場合の特別控除の特例の適用を受けるためには、相続又は遺贈により、被相続人居住用家屋とその敷地等のいずれも取得する必要があります。したがって、相続により被相続人居住用家屋を取得せず、その家屋の敷地のみを取得した場合(次男)には、当特例の適用はありません。

Q12【空き家特例と相続税額の取得費加算の特例との関係】

 被相続人が一人で居住していた店舗兼住宅及びその敷地を子が相続により取得し、その家屋を取り壊した後でその敷地を譲渡しました。この場合において、店舗部分については、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例の適用を受け、居住用部分については、被相続人の居住用財産を譲渡した場合の特別控除の特例の適用を受けることは可能でしょうか。

A12

 店舗部分について、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例の適用を受けた場合であっても、居住用部分について被相続人の居住用財産を譲渡した場合の特別控除の特例の適用を受けることができます。

 被相続人の居住用財産を譲渡した場合の特別控除の特例は、譲渡した被相続人居住用家屋又はその敷地等について、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例の適用を受けていないことが要件の一つとなります。

 しかし、居住用部分と非居住用部分で構成される一の家屋及びその敷地については、その非居住用部分の譲渡について相続財産を譲渡した場合の取得費の特例の適用を受ける場合であっても、居住用部分の譲渡が被相続人の居住用財産を譲渡した場合の特別控除の特例の適用要件を満たす場合には、当特例の適用を受けることができます。