≪居住用財産を譲渡した場合の各種特例の適用Q&A②≫ 

Q4【海外勤務による留守の場合】

 4年前に海外勤務となり、自宅(名古屋市で15年間居住)をそのままの状態(空き家)にしておりました。この度、東京勤務となったため、自宅(名古屋市)に戻ることなく、そのままの状態(上記空き家の状態)で売却しました。この自宅(名古屋市)の売却について、居住用財産を譲渡した場合の各種特例の適用は可能でしょうか。

A4

 居住用財産を譲渡した場合の各種特例は、その家屋の所有者自身が現に居住しているものを譲渡した場合又はその家屋を居住の用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の年の12月31日までの間に譲渡した場合に限り、適用可能となります。

したがって、この度の自宅(名古屋市)の売却については、海外勤務となってから譲渡時までに居住の用に供していたという事実がないため、居住用財産を譲渡した場合の各種特例の適用はありません。

Q5【単身赴任の場合】

 家族で自宅に居住しておりましたが、転勤に伴い家族を自宅に残したまま単身赴任(社宅に居住)となりました。この度自宅を売却しましたが、居住用財産を譲渡した場合の各種特例の適用はありますか。

A5

 転勤、転地療養等の事情のため、所有者がその配偶者等と離れ単身で起居している場合であっても、その事情が解消したときには配偶者等と起居を共にすることとなると認められるときは、配偶者等が居住の用に供している家屋は、所有者においても居住の用に供している家屋に該当することとなります。したがって、当自宅は居住用財産を譲渡した場合の各種特例の適用対象となります。

 なお、単身赴任先の入居家屋が自己所有のものであり、自宅とともに居住の用に供している家屋を二以上所有する場合には、所有者が主として居住の用に供していると認められる一つの家屋のみが、当特例の対象となります。

Q6【生計一親族が居住している場合】

 10年前に生計を一にする両親を自宅(夫所有)に残し、妻子とともに社宅に転居(転勤)しました。この度、転居先付近で両親及び妻子とともに生活をする新居を購入すると同時に、自宅を譲渡しました。この譲渡は、居住用財産を譲渡した場合の各種特例の適用はできますでしょうか。

A6

 この度の自宅については、居住用財産を譲渡した場合の各種特例の適用は可能と思われます。

 家屋の所有者が居住の用に供していない場合であっても、下記の要件の全てを満たす場合には、家屋の所有者にとって居住の用に供している家屋に該当するものとして取り扱うことができます。

 ① その家屋は、所有者が従来所有者として居住の用に供していた家屋であること

 ② その家屋は、所有者が居住の用に供さなくなった日以後引き続きその生計を一にする親族の居住の用に供している家屋であること

 ③ 所有者は、その家屋を居住の用に供さなくなった日以後において、既に一定の規定の適用を受けていないこと

 ④ その家屋の所有者が生活の拠点として利用している家屋は、その所有者の所有する家屋でないこと

 なお、②について、生計を一にする親族が居住の用に供さなくなった日又は生計を一にする親族に該当しなくなった日のいずれか早い日から1年を経過した日以後に譲渡が行われた場合には、この取扱いを適用することはできません。

 当事例は上記①~④の要件を満たすものと思われますので、各種特例の適用は可能と思われます。